東京地方裁判所 昭和44年(ワ)6523号 判決
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〔判決理由〕二、そこで、被告薗田の過失の有無および程度について判断する。
<証拠>によれば、被告薗田は、被告車を運転し、別紙図面①の地点から通称明治通りを横断するため同所で一且停止し、図面②の地点まで進行したが、明治通りの交通量が多く、同所で再び停止したところ、たまたま自車左前方のバスが停止して進路を譲つてくれたので、バスのため左方の見とおしが極めて悪いにもかかわらず、さらに一時停止して安全を確認することなく、そのまま時速的一〇キロメートルで進行し、折柄バスの左脇の路肩付近を進行してきた原告自転車の進路を妨げ、同自転車の前部に被告車左側面後部付近を衝突させ、原告を転倒せしめた。
以上の事実が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。
そうすると、被告薗田には左方不注視の過失があつたというべきである。もつとも、被告車と原告自転車の衝突個所、被告車の速度が時速一〇キロメートル程にすぎなかつたこと、原告自身も自らの過失を認めていること(乙第三号証)に照らすと、原告にも前方不注視の過失があつたことが認められ、この原告、被告薗田の過失を割合をもつて示すと、ほぼ原告四、被告六と認めるのが相当である。
三、損害
(一) 財産的損害
<証拠>によると、次の事実が認められる。
原告は、本件事故で右眼上部裂創、右手擦創の傷害をうけ、昭和四四年二月二八日、田端中央病院に一日入院し、翌日から同年三月八日まで通院し、その間治療費として一万三九〇〇円を支払つた。
<証拠>によると、次の事実が認められる。
原告は、屋台のラーメン屋をして事故当時一カ月少くとも一八万円の純収入を得ていた。原告は夜八時から朝五時頃までの深夜に働くという激務であつたため、前記三月八日に傷は治癒したものの、大事をとつてさらに一〇日程勤務をしなかつた。
右認定事実に原告の受傷の程度およびその職務内容を総合すると休業期間(休暇を含む)一五日をもつて本件受傷に起因するものと認める。そうすると原告の休業損害は九万円となる。その他の原告主張の財産的損害は、認めるに足りる証拠はない。そこで原告の原告の財産的損害(治療費、休業損害)について前記過失割合を斟酌し、六万二〇〇〇円をもつて被告らに請求しうるものと認める。
(二) 精神的損害
原告が本件事故により受けた傷害は前認定のとおりである。原告主張の後遺症はこれを認めるに足る証拠がない。右傷害による原告の精神的苦痛を慰藉すべき額は、事故発生の態様、殊に原告の過失、入、通院期間に照らせば、到底原告主張のような多額となりえないのみならず、原告は本訴において激しい勤務に服することなく休業期間に比べ多額の休業損害金が認容されることに鑑み、一万円をもつて相当と認める。(坂井芳雄 小長光馨一 佐々木一彦)